溶接ビード
一般的に、パイプ製造時にはロール成形後に高周波溶接により、つなぎ合わせを行います。
その際に発生する溶接痕の盛り上がりのことを溶接ビードと呼びます。
溶接痕をそのままにしておくと、パイプ完成時にパイプ内部が曲面ではなく、一部金属の盛り上がった状態になります。
パイプの利用用途によっては、特に問題ないケースもありますが、パイプ内面もきれいな曲面にしなければならないような用途では、溶接ビードを除去する作業が必要になります。
鋼管製造プロセスの中で最も一般的な方法の1つに電縫鋼管があります。 電縫鋼管は、鋼板を円筒状に巻きその端を溶接して1本の管(パイプ)にします。パイプの内部に縦に走る溶接線の事を内面ビードと呼んでいます。 この接合は、高周波電流を使用して行われます。高周波電流は鋼板の端部を加熱し、それらを溶接するのに使用されます。このため、この製造プロセスは「電縫」と呼ばれます。電縫鋼管は、その製造プロセスの効率性と比較的低コストのため、一般的な建築、パイプライン、構造用途、自動車製造などで広く使用されています。さまざまな径と厚さの電縫鋼管が市場で利用可能であり、需要に合わせて製造できるため、多くの異なる用途に適しています。
パイプ内の溶接ビードを除去する方法は、パイプの材質やサイズ、溶接ビードの形状、除去作業場の状況によって変わります。いくつか方法がありますが、以下が一般的な方法です。
①グラインダーを使って研削する
②内部に装置を入れビードを切削または転圧する(内面ビード除去装置)
流体の流れの妨げの除去
パイプ内に溶接ビードが存在すると、流体(液体またはガス)の通り道を妨げる可能性があります。これは流体の流れを阻害し、効率を低下させることがあります。特に、高い流速や粘性の流体を輸送する場合に問題となります。溶接ビードを取り除くことにより、スムーズな流体の流れを確保できます。
圧力損失の軽減
パイプ内の溶接ビードが流体の流れを妨げると、圧力損失が生じる可能性があります。これは、パイプ内の圧力が必要な値に達しない場合や、エネルギー効率が低下する場合に問題となります。溶接ビードを取り除くことで、圧力損失を軽減し、システムの効率を向上させることができます。
清潔さと衛生性の確保
特に食品、薬品、医療などの産業では、パイプ内の溶接ビードが微生物や異物のたまり場所となり、清潔さや衛生性に悪影響を及ぼす可能性があります。溶接ビードを取り除くことにより、清潔で衛生的な環境を維持できます。
検査と保守の容易さ
パイプ内に溶接ビードがあると、定期的な検査や保守作業が難しくなります。溶接ビードを取り除くことで、パイプ内部の視認性が向上し、必要な保守作業や検査が容易に行えるようになります。
溶接品質の向上
溶接ビードが不均一であったり、欠陥がある場合、それが強度や耐久性に悪影響を及ぼす可能性があります。溶接ビードを取り除いて再度溶接を行うことで、溶接品質を向上させ、安全性を確保できます。
したがって、パイプ内の溶接ビードを取り除くことは、流体輸送システムや産業プロセスの効率性、安全性、品質の向上に繋がります。
ビードカットをする際に、切削により出てくるビード屑がその後に工程に悪影響を及ぼす場合があります。ビードカットした屑がそのまま長細い屑としてパイプ内部に残存してしまい。それを取り除く作業が必要になります。
管内に切削されたビードの取り残しがある場合エアー又はウォーターブローします。それでも飛ばされない場合は人の手によって行われるた為、抜き取りに時間が掛かり、安全性にも欠けます。
弊社では、ビードカット屑の処理を含め、より効率的に出来ないかという視点で、様々なアプローチによるビード除去装置を開発いたしました。